水曜日, 9月 20, 2006

有料老人ホーム連載7:読売新聞引用

第3部 有料老人ホーム
資金計画
余命考え「月額」決めて

 有料老人ホームの価格設定が多様化し、選択肢が増えてきた。ホーム選びで最も重要なのは資金計画だ。自分の資金で一生住み続けられるのか、十分に見極める必要がある。計画作りのポイントを紹介する。(林真奈美)
「高級」よりも…
 東京・中野区の元教員A子さん(71)は、6年前に夫を亡くして一人暮らし。75歳までに有料老人ホームに入居する予定で見学を重ねている。年金は月24万円、預金は約1000万円。自宅と2DKのマンションを所有するが、自宅は子供に残したいと思っている。
 現在までに、「入居一時金ゼロで月額費用21万円」「同1000万円で18万円」などに候補を絞った。「最初は高級ホームに魅力を感じたけれど、資金計画を練るうちに自分に合ったホームが見えてきた。お金の使い方を考えることがホーム選びの第一歩ですね」とA子さん。
 有料老人ホームの費用は、入居一時金と月額費用が主だ。ただ、「ほかにも生活上の出費は多い。入居一時金がいくらなら月額費用はいくらまで支払い可能か。それを把握することが資金計画の基本です」と、有料ホームの経営コンサルタントでファイナンシャルプランナーの浜田孝一さんは強調する。
 資金計画は、次の四つの段階で考えるとわかりやすいという。
 〈1〉支払い原資の確認。預貯金や自宅売却による資産と、年金や家族からの援助などの収入を、それぞれ明確にする。
 〈2〉資産分類。使い道により、「親族への相続」「入院などの臨時費用」「本人利用分」に3分類する。相続はゼロでもよいが、臨時費用は、ホーム費用の値上がりや医療・介護保険の負担増も念頭に設定する。残りが本人利用分だ。
 〈3〉「その他費用」の見積もり。ホームのパンフレットに書かれた月額費用以外の費用を見積もる。外食や趣味の費用、電話代、オムツ代、通院している場合は医療費など。注意したいのは、ホームによって月額費用に含まれるサービスが大きく異なる点。家事援助や介護で思わぬ追加負担が発生する場合も多い。
 〈4〉平均余命を考慮。平均余命と健康状態を勘案して入居期間を予想し、これまでの3段階を踏まえて、入居一時金や月額費用が支払い可能かを検討する。
若いほど誤差
 そのために、まず、入居一時金を支払った後の毎月の利用可能額を計算する。〈2〉の「本人利用分」から入居一時金を引き、残りを予想入居期間で取り崩すと想定して、1か月当たりの金額を算出。これに、〈1〉の年金など月々の収入を加えた額が毎月の利用可能額となる。次に、毎月の利用可能額から〈3〉の「その他費用」を引く。この金額が支払い可能なホームの月額費用だ。この範囲内なら資金計画はOKといえる。
 浜田さんは、「若いほど誤差が大きくなるので、入居期間や臨時費用に余裕を持たせて見積もることが大事。家を売って費用を工面する場合は、認知症などでホームから退去を求められる事態も想定し、より慎重な計画を」と話している。
主な年齢の平均余命

男性
女性
60歳
22.17年
27.74年
65歳
18.21年
23.28年
70歳
14.51年
18.98年
75歳
11.23年
14.93年
80歳
8.39年
11.23年
85歳
6.07年
8.10年
90歳
4.36年
5.69年
95歳
3.21年
4.02年
100歳
2.41年
2.96年
厚生労働省「2004年簡易生命表」から
(2006年6月27日 読売新聞)
YOL内関連情報

0 件のコメント: