水曜日, 9月 20, 2006

有料老人ホーム連載6:読売新聞引用

第3部 有料老人ホーム
チェックポイント
入居者の表情目安に
担当者の説明を受けながら、居室を見学する入居希望者(横浜市港北区の有料老人ホームで)
 有料老人ホームへの住み替えを決断したら、多様な選択肢の中から、自分に合ったホームを探すことになる。サービスの質や、倒産の可能性など不安も尽きないなか、入居後に後悔しないよう、賢いホーム選びのポイントを紹介する。(中舘聡子)
 先月、横浜市内で有料老人ホームの見学会が開かれた。主催したのは、ホームの情報提供・入居相談に応じている「高齢者住宅情報センター」。参加者は、施設概要を担当者から聞いた後、館内を見学、入居者と同じ昼食を食べ、食事内容もチェックした。
 その一人で市内に住む男性(66)は、6年前に妻を亡くし、一人暮らし。「何かあっても誰にも気づかれないのでは」との不安感や孤独感、また、食事作りの苦労から解放されたくて、もう5か所以上もホームを見て回ったという。
 それを聞いた同センターの相談員は、「自分の目で見ることは非常に大切。ただ、やみくもに幾つもホームを見て回るのは大変なので、地域や金額、部屋の広さなど、絶対に自分が譲れない条件をまず絞って資料を取り寄せ、比較検討してみては」と、この男性にアドバイスを送った。
 同センターのような情報提供・相談機関は急増している。成約手数料を収入源としているところも多く、情報の精査が必要だが、複数のホームの情報を一度に得られるメリットは大きい。
 その一つ、会員制の「タムラプランニング&オペレーティング」社長の田村明孝さんは、「今はホーム数が増え、『買い手市場』なので、契約をせかされても即決せず、十分比較検討することが大切」と強調する。

 入居の検討にあたってまず欠かせないのが、PR用の美辞麗句に惑わされず、パンフレットの内容をよく読み込むことだ。特に注意が必要なのが入居一時金や月額利用料の記述。これに含まれるのは基本的なサービスのみで、規定以上のサービスは追加費用が必要になる。そうした細かい事項は重要事項説明書や入居契約書に書いてある場合が多い。田村さんは、「資料はできる限り請求する。『契約時にしか見せられない』と、情報公開を拒むようなホームは避けた方がいい」と言う。
 資料で気に入ったホームが見つかれば、次は現地見学。いいホームを見極めるためのチェック項目は多いが、一番の目安は「スタッフの対応の仕方と入居者の表情」という。体験入居もしてみると、より入居後の実感が得やすい。
 元気な人にとっては部屋の面積、要介護の人にとってはケアの内容も気になるところ。田村さんはケアの充実度をはかる指標として、「認知症になった時の対応」を挙げる。環境の変化が進行を早める恐れのある病気だけに、安易に部屋の移動を促すホームは要注意だ。職員の研修の有無も判断材料となる。
 経営状況を把握するためには、入居率が参考になる。タムラプランニングの調査では、5年前に90%を超えていたホーム全体の平均入居率は下落を続け、昨年は45%にまで下がった。
 「開設時に30%、1年後で60%、2年以降で80%を超えていれば、まず安心」と田村さんは話している。
有料老人ホームに関する主な相談機関
◇シニアライフ情報センター(東京都渋谷区)(電)03・5350・8491。◇タムラプランニング&オペレーティング(東京都千代田区)(電)03・3292・1107。◇高齢者住宅情報センター(東京都中央区、大阪市北区)(電)0120・352・350。◇全国有料老人ホーム協会(東京都中央区)(電)03・3548・1077。
(2006年6月21日 読売新聞)

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