水曜日, 9月 20, 2006

有料老人ホーム連載2:読売新聞引用

第3部 有料老人ホーム
「高価格」での暮らしは?
広い空間 介護充実
「七彩の街」の一般居室。24時間介護が必要になると介護居室に移るが、水野順一ハウス長は「なるべく長く一般居室で暮らし続けてもらえるよう、努力しています」と話す(埼玉県ふじみ野市で)
 低価格の有料老人ホームが増える一方、入居一時金に数千万円を必要とするホームも多い。「人生最後の高い買い物」ともいわれるホームでは、どのような生活と安心が得られるのだろうか。(小山孝)
 広さ50平方メートルの1LDKの部屋には、緊急通報装置がある以外は使いなれた家具が並び、バルコニーには洗濯物がたなびく。
 埼玉県ふじみ野市にある有料老人ホーム「ライフ&シニアハウス川越南七彩の街」で暮らすAさん夫婦(69歳と68歳)の部屋は、老人ホームというより、分譲マンションのようだ。
 昨年、同県越谷市内の一戸建てから転居した。子どもがなく、会社経営を数年前に後進に譲ったのを機に、「介護が必要になってからでは遅い」と住み替えを決断した。自宅を売って約3500万円の入居一時金に充て、月約20万円の食費や管理費などは年金で賄う。
 妻は、「家具の8割は処分しなければなりませんでした」とぼやくものの、「いつもだれかがいる安心感があります」と話す。
 入居者同士のサークル活動も盛ん。多目的ホールでは近隣の住民も招いた料理教室が開かれるなど、生活を楽しむ要素も多い。
 今春、関西から移り住んだBさん夫婦(85歳と82歳)にとっての魅力は、1日3食、複数のメニューが選べる食事サービスだ。「この年になると食事の準備や片づけ、戸建ての維持管理は大変。ここなら何かあっても安心」と夫は言う。
 生活科学運営(本社・東京)が昨年開設したこのホームには、元気な時から入れる一般居室(32~98平方メートル)が60室、常時介護が必要な人のための介護居室(21~23平方メートル)が32室ある。国基準より手厚い職員配置(要介護者2人に対し1人)をしているため、ホームから介護を受ける場合、月4万2000円の上乗せ金が必要だ。

 有料ホームの情報提供・相談を行っている「高齢者住宅情報センター」(東京)の山田礼子室長によると、元気なうちに入居して必要に応じて介護を受けるタイプは、居室や共用部分で一定の広さが必要なため、一時金は、最低でも2000万円台からのところが多い。一方、主に要介護者を対象にしたホームでは低価格化が進むが、そうしたホームでも、高額な入居一時金を必要とする所もある。
 東京海上日動サミュエル(横浜市)が一昨年、横浜市青葉区に開設した「ヒルデモアこどもの国」(54室)もその一つ。一時金は2400万円、介護費用を含めた月々の費用は約30万円。ここの特徴は、認知症ケアに力を入れ、家庭的な環境のもとで、少人数ごとの介護を実践していることだ。介護職員も、重度者には1対1で対応する。また、散歩ができる広々とした日本庭園があり、館内は木目調で統一するなど、雰囲気作りにも費用をかけている。
 認知症の母親(72)が入居している女性(45)は、「低価格ホームも見学したが手狭さが気になった。ここは職員の多さが気に入っている」と言う。
 入居金は共用部分の広さなどで大きく変わってくる。「高額だからといって必ずしもサービスがいいわけではないので注意が必要」と山田室長は話している。
入居一時金
 有料老人ホームに入居する際、居室や共用部分を利用するために支払う対価の総称。家賃の前払いなど、ホームによって位置付けや額が異なる。4月の老人福祉法改正で、同月以降に新設されるホームに最高500万円の一時金保全の義務が課せられた。
(2006年6月7日 読売新聞)

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