水曜日, 9月 20, 2006

有料老人ホーム連載1:読売新聞引用

第3部 有料老人ホーム
「低価格」急増
入居金ゼロも登場
食堂で入居者や職員と談笑する落合さん(右から2番目)。「いろいろな人がいて、話題が豊富で楽しいですよ」(東京・小平市の「アミーユレジデンス新小平」で)
 介護保険導入後、急増し、多様化が進む有料老人ホーム。かつては数千万円もする入居一時金が一般的で、庶民には高根の花だったが、低価格化が進み、「ついのすみか」として有力な選択肢になってきた。有料ホームの現状と、選択の心得をお伝えする。(林真奈美)
 JR新小平駅から徒歩5分。住宅街にある新築マンション風の3階建ての建物が、今年5月に開設した有料老人ホーム「アミーユレジデンス新小平」(東京・小平市)だ。介護保険で「要支援」「要介護」と認定された人向けで、51室すべてが個室。1階と3階の食堂で、入居者たちがくつろぐ。
 ここのウリは、入居一時金が要らない点。従来、有料ホームは、終身利用権を得るために多額の一時金を入居時に求められることが多かった。これに対し、「新小平」を運営するメッセージ(本社・岡山市)は、数年前から一時金50万円前後のホームを全国展開、さらに今年度以降の開設分は「入居金ゼロ」に踏み切った。「新小平」の月額利用料は食費を含めて18万円台で、原則として終身利用できる。
 個室の広さは23・6平方メートル。入り口寄りに風呂、トイレ、洗面、ミニキッチン、洗濯機置き場があり、引き戸を隔てて7畳弱の居間がある。介護職員は満室時で入居者2・5人に対し1人の割合。特別養護老人ホームの3人対1人より手厚い。

 独り暮らしが不安で入居した「要介護1」の落合ゆきさん(88)は、「年金が少なく、何千万円もかかるホームは無理。ここは価格も魅力的だし、街なかで便が良く、部屋にお風呂もあって、自分のペースで暮らせます」と満足そうだ。
 低価格は土地や建物を自社所有せず賃借にし、設備や内装を簡素にして初期費用を圧縮することで実現。広告宣伝も地元でのビラ配布のみとし、食事も外部の集中調理方式とした。「大浴場はないが、希望者は近所の銭湯に連れて行く。ホームは第二の自宅。ホテルのような豪華さより、以前の生活の再現を重視している」と、中島禎孝・経営企画室長は説明する。
 
要介護者向け中心
 ベネッセスタイルケア(東京・渋谷区)は、入居金なしを選べるホームを展開。「まどか本八幡」(千葉県市川市)では、入居金なしだと毎月の負担が21万6000円、入居金350万円を払うと毎月17万4300円。家庭的な雰囲気が特徴だ。同社の入居金数千万円のホームとの違いは、「立地、建物や内装、食事や看護師配置など」(経営推進本部)という。
 入居金が安いと気軽に入退去でき、特養の待機者にも使い勝手がいい。
 ただし、入居金が数百万円以下のホームは、要介護者を基本に設計されたものが中心。個室が13平方メートル程度の狭い所もある。入居者の大半は特養に入れるほど重度ではないが、独り暮らしや家族介護は困難な人たちだ。健康な人が悠々自適の生活を期待するのは無理がある。また、入居相談などを行う「タムラプランニング&オペレーティング」の田村明孝社長は、「介護の質にバラつきがあり、十分な見極めが必要」と指摘している。

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